公益社団法人能楽協会が行う権利処理業務のご案内

本ページでは、公益社団法人能楽協会(以下、協会と致します)が著作権関連事業の一環として行っている、過去に撮影・録音・録画された能楽実演の写真・音源・映像のデータ利用に際する実演家の著作権権利処理業務のご案内をしております。
能楽実演の映像・写真等をお探しの方はご相談ください。

事業概要

1. 著作権関連事業の趣旨

能楽実演の本質に沿ったデータのみを後世に残すこと及び協会が特別に委任を受けた実演家が持つプロ能楽師としての権利を侵害されないよう保護すること。

2. 権利処理業務の目的

既存の能楽実演データが不適当に利用されることのないよう、データの出処、内容、利用目的などが伝統的な能楽実演の本質に沿ったものであるかどうか確認を行うと共に、該当データが一般へ公表されるに先立ち、出演する実演家(能楽師)の持つ許諾権及び報酬請求権等の処理を公正に行う。

3.処理対象

協会が別に定める「能楽の実演」の定義(末尾参照)の範囲で、能楽師がプロの公演として行った能楽実演の映像、音源、写真などのデータのうち、協会へ著作隣接権等の処理を委任している実演家についての権利処理。
※協会への委任者については、本サイトにて開示しておりますので、別途ご確認下さい。
※非委任者のうち、協会へ連絡先登録のある実演家については、当該連絡先をご案内致しますので、利用者の方から直接交渉をお願い致します。

申請方法

能楽実演データのご利用に際し、該当実演家の権利処理を協会へご依頼の方は、後述の【申請要領】をご一読・ご了承の上、下記の手順にて申請手続きを行って下さい。

(注)2020年3月1日より、申請手続きに関して暫定的に以下の通りに致します。

  1. メールでの申請書ご提出を受け付けます。
  2. 申請書の「申請者欄」への捺印につき、割愛可と致します。
  • 申請内容によっては、申請者の確認、捺印での再提出依頼をさせて頂く場合がございます。

(1)申請書類の提出

以下の必要書類等を協会までご提出下さい。

  1. 権利処理申請書
  2. 利用希望データのコピー
     ※編集する場合は、編集済の実際に使用するデータコピー。
     ※権利処理に先立ち写真・映像素材をお探しの方は問い合わせにてご相談ください。
  3. 演者リスト
ご提出先

メール:chosaku@nohgaku.or.jp  ※メール1通につき容量5MB以下でお願い致します。
ご郵送:公益社団法人能楽協会 〒169-0075東京都新宿区高田馬場4-40-13 双秀ビル201
ご持参:事前に日時をご予約下さい。

(2)申請後の手続きの流れ

①協会にてご提出頂いた書類を拝見し、取り扱いの可否、使用料見積り等を申請者に連絡。

②申請者による使用料見積りご了承をもって正式受付とし、協会より該当実演家に連絡、利用許可を依頼。

③該当実演家全員の許可を取得後、協会より申請者に利用許諾書と請求書を発行、送付。

④代金は、請求書発行の翌月末までに銀行振込にてお支払い下さい。入金が期日を過ぎる場合は予めお知らせ下さい。

【申請要領】

1. 申請受付条件

  1. 利用を希望するデータ(写真、音源、映像等。以下、データと致します)を提出すること。
  2. データ実演当時の主催者、公演日時、場所、演目、演者、撮影者の情報が明確であること。
    ※演者リストがなく、データからの人物特定が必要な場合には、別途手数料を申し受けることがあります。但し、面をかけた演者については、明確な情報が必須条件となります。
  3. データ所蔵者、データ実演当時の主催者、収録・撮影者への許諾取得手続きはデータ利用希望者(以下、利用者と致します)の責任において行うこと。
  4. 以下の諸事項を了解のこと。

①データに出演している実演家のうち何れの役に対し権利処理が必要となるかは協会の判断に従うこと。
②データのうち、協会へ非委任の実演家の権利処理は、利用者の責任とすること。
③データ利用において、協会が権利処理を行った実演家以外からのクレームに関しては、利用者が一切の責任を負うこと。
④協会の行う権利処理は非一任型である旨を了承し、協会委任者の権利処理において、該当者全員の許諾を得られなければ使用不可となること。
⑤権利処理申請の受付確認連絡後、利用者の都合によりキャンセルする場合、利用者はその理由を書面にて協会へ提出し、又取消料が発生する場合があることを予め了承のこと。(※「7. 取消料」参照)

2. 申請を受けられない主な例

  1. データに出演する実演家の中で、協会委任者に関し、その一部に限った権利処理依頼。
  2. 能楽師又は能楽関係団体の主催する能楽公演の広報宣伝材料への利用。
  3. 能楽関係団体の発行する機関紙、月刊誌などへの利用。
  4. 個人を対象とした出版物における該当個人の権利処理依頼。
  5. 演者に関する情報不足の為、協会では人物特定をすることが不可能と判断したとき。
  6. 利用者が協会の定める使用料を支払えないとき。
  7. 主に映像、音声の利用において、該当データの実演当時に初期契約がなされていない又は収録・撮影に関して演者へ周知されなかった記録物のとき。
  8. 主に映像、音声の利用において、該当データの実演当時の初期契約で既に使用料等の案内がされているとき(協会の権利処理に関する使用料規定外となる為)。
  9. その他、申請内容、利用目的等により協会が権利処理を行うことを不適当と判断したとき。

3. 使用料

  1. 原則として、申請書等の必要書類提出を受けてからの見積もり算出となります。
  2. 使用料額算出において小数点以下が発生した場合には、小数点以下第1位を繰上げとさせて頂きます。
  3. 全ての権利処理において、使用料総額に対し別途消費税を申し受けます。
  4. 使用料の支払い方法は、原則として協会が指定した口座への振込みに限り、振り込み手数料は利用者の負担とします。
  5. 具体的な金額については、協会までお問合せ下さい。

4. 権利処理の最低所要期間

  1. 写真…申請書、データコピー、演者リストの提出後、協会が受付確認の連絡を入れた日から2週間。但し、写真10枚以上の利用に関してはこの限りではなく、その都度毎に所要期間を定めますので予めご了承下さい。
  2. 映像・音源…申請書、データコピー、演者リストの提出後、協会が受付確認の連絡を入れた日から3週間。但し、複数のデータを同時利用する場合(例:DVDセットにして販売するなどの商品化等)の場合はこの限りではございませんので、別途ご相談下さい。
  3. 利用者の都合により、協会の定める最低所要期間に満たずに処理を行う場合は、別途手数料を申し受けることがあります。(※「5. 特別処理料金」参照)
  4. 上記期間はあくまでも目安であり、協会の休業時期又は業務繁忙期などにかかる場合には、例外としてこれ以上の期間を頂く場合もございますので予めご了承下さい。

5. 特別処理料金

利用者が「4. 権利処理の最低所要期間」に満たない期間での処理を希望する場合は、特別処理料金として、協会の定める最低所要期間を基準にして1日短くなる都度に手数料1,000円を使用料とは別途申し受けた上で、手続きを承ることもございます。詳しくはご相談下さい。

6. 連絡先不明者の権利処理について

原則として、現協会会員並びに協会が特別に委任を受けている実演家(又はその権利継承者)以外の権利処理に関して、協会はその権利処理手続きの是非を含め、利用者の判断に一任します。但し、データに出演する実演家のうち、委任関係不成立の物故会員、その他、協会に所属していない実演家については、下記の要領で捜索が可能です。

(1)調査

協会は利用者から依頼があった場合は該当者(本人、権利継承者、又は代理人)の連絡先調査を行います。

(2)権利処理手続き

①連絡先が判明した場合…原則として利用者の方から直接の交渉をお願いします。但し、特例として、協会で委任を受ける場合もあります。
②連絡先が不明であった場合…不明者として記録。本人又は関係者からの一報に期待する目的で、協会の規約に従い公に一定期間告知を行います。

(3)調査協力金

上記(2)の調査により、該当者の連絡先が判明した場合は、使用料とは別に調査協力金を申し受けます。
※協会へ非委任の場合の使用料ほか手数料につきましては、利用者と該当者で直接ご交渉下さい。

7. 取消料

権利処理申請後に利用者のご都合により申請を取り消される場合は、書面にその理由を記載したものをご提出下さい。また、以下のとおり取消料を申し受けますので、ご了承下さい。(但し、取消料が500円以下になる場合は請求致しません)

①実演家への許諾依頼発出前…無料
②実演家への許諾依頼発出直後…使用料の20%
③上記②以降④までの間…使用料の50%
④実演家の許諾取得完了後…使用料の100%

【参考】

「能楽の実演」の定義

「能楽の実演」とは、既存曲・新曲・復曲を問わず、もっぱら通常おこなわれている能・狂言の形態(能にあっては、本能・舞囃子・居囃子・素囃子・番囃子・一調・独鼓(独調)・一調一管・一管独謡・一調一声・一管・連管・素謡・独吟・連吟・仕舞等。狂言にあっては、本狂言・間狂言・小舞・小歌・語り等)のものとし、他ジャンルとの共演等は除外するものとする。
※但し、新曲についてはその都度検討して権利処理を引き受けるものとする。

  • 本業務における協会の役割は、能楽実演データの利用を希望なさる皆様とその該当実演家の間にたち、諾否問合せ手続き、使用料支払いなどの事務手続きを団体として仲介するものです。ご承知の通り、実演家の権利は各実演家個人に帰属するものであり、協会は個々より提出された委任状に基づきこの事務手続きを代行するに限り、許諾権は全て各実演家本人にあります。このことから、データ利用に際する「能楽協会の許可」は必要ないことを申し添えます。
  • 協会が行う権利処理業務は、未だ調査研究の余地が十分にあることを何卒ご理解頂き、申請手続き、諸条件等は、今後も改定の可能性がございますことをご承知おき下さい。

平成20年4月1日

平成20年4月2日改訂

平成20年5月2日改訂