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金春円満井会 横浜公演のご紹介

作成者: 公益社団法人 金春円満井会|2021年11月10日(水)

2022年1月29日(土)横浜能楽堂にて、「日本全国能楽キャラバン!金春円満井会横浜公演」を開催します。
金春円満井会は、矢来能楽堂での定例公演を中心に東京、奈良などで活動しておりますが、今回は初めて横浜能楽堂の協力のもとでの公演となりました。

元来は宗家の一子相伝であった秘曲「関寺小町」を江戸時代の六徳本に沿った形にした「古式」という小書(特殊演出)として本田光洋がつとめます。
そして、人間国宝である山本東次郎師の「御田」は能「加茂」の田植えを祝う早乙女たちの替間狂言ですが、今回は独立した狂言として舞台を寿ぎます。

2022年1月29日(土)公演のご紹介

仕舞 金春流「源太夫」金春憲和

金春流にのみ伝わるワキ能。熱田神宮を訪れた勅使の前に源太夫の神が現れ、太鼓を鳴らし舞を見せ勅使を慰めます。能ではシテ源太夫(悪尉)とツレ橘姫(増女)により楽の合舞が特徴。仕舞では、キリの部分を演じます。
シテ方金春流81世宗家である金春憲和がつとめます。

仕舞 金春流「花筐クルイ」櫻間金記

愛する人と別れ悲嘆に暮れる照日の前は、かつて別れた継体天皇の行列に行き合い思わず飛び出すが、しるしの花かごを打ち落とされ嘆き悲しみます。やがて二人は対面し、ともに都へと赴くのでした。
クルイは、花かごをはたき落とされ嘆きながらも恋心を訴える場面です。
演じるのは繊細な演技と型のキレに定評のある櫻間金記です。

狂言 大蔵流「御田」山本東次郎

元来は能「加茂」の替えアイとして演じられるもので、加茂明神の神職が早乙女たちを呼び出し、歌をうたわせつつ田植えをさせます。
ユーモラスながらも農耕に対する真摯な祈りをうかがわせます。
狂言大蔵流の山本東次郎師は固い武張った中にも柔和さを両立し人間国宝に認定されています。

能 金春流「関寺小町 古式」本田光洋

「姨捨」「桧垣」と並ぶ三老女の中でも、最も格の高い曲と言われています。
七夕の日に、子供を連れた僧と言葉を交わす老女。和歌について語るうちに、百歳となった小野小町と名乗り、やがて子供に手を引かれ昔を思い出すように舞い始めます。

99歳の小野小町を描いた「卒都婆小町」のようにかつての執心に狂うのでもなく、ただ静かに透き通った老寂の世界を描写するこの曲は、金春流では長らく宗家による一子相伝とされてきました。
しかしあまりに長い期間上演が絶えることにより、芸の遺失を憂いた80世金春安明宗家により「古式」の小書が整えられました。明治維新以降はわずかに5回の上演があったのみという、希少な公演です。

能楽を存分に堪能できる贅沢な公演

仕舞、狂言、能それぞれが上演機会の少ない貴重な公演となっております。
この機会に、ぜひ横浜能楽堂までおいでください!