能楽公演のみどころ

「源氏物語」に関連する演目とスポットを宇治で堪能

公益社団法人 能楽協会

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楽しむ能「楽」プロジェクト!京都・奈良・長崎・鹿児島・沖縄にて2024年9〜12月開催!「平等院 能楽特別公演」は10月16日(水)・17日(木)の二夜にわたり、宇治の平等院 鳳凰堂前広場 特設舞台で開催します。

平等院のある宇治は、いま話題の「源氏物語」ゆかりの地です。17日公演では、光源氏のモデルといわれる源融を主人公とした能「融」が上演されます。本記事では、能「融」の魅力と、宇治の「源氏物語」に関連するスポットをご案内します。

光源氏のモデルとされる源融を主人公とする能「融」

京都市の南に位置する宇治市は「源氏物語」の最後の物語「宇治十帖」の舞台で、平安時代には貴族の別業(べつごう=別荘)が数多くありました。

源氏物語の主人公・光源氏のモデルとされる源融(みなもとのとおる)の別業もあり、それが後に左大臣として権勢を振るった藤原道長の手に渡り、治承7年(1052年)に道長の長男で関白だった頼通が寺へと改修しました。これが平等院の起源と言われています。

かつて源融の別荘であった平等院にて舞われる能「融」

17日(木)の公演では、この源融を主人公とした能「(とおる)」が上演されます。物語の前半、融は汐汲みの老翁(前シテ=前半の主人公)として都の六条河原の院に登場し、旅僧(ワキ=シテの相手役)に「ここは昔、源融が陸奥の塩竈の浦の景色を模して庭を作った場所である」と謂われを語ります。

後半、融は亡霊(後シテ=後半の主人公)として現れ、月下のもとで舞い遊び、夜明けとともに消え失せます。かつて融の別業であった平等院にて、月光のもとで舞われる幽玄な能をお楽しみいただきます。

紫式部ゆかりの地・宇治で源氏物語を辿る

宇治を舞台とする「宇治十帖」は、光源氏の息子「薫」と孫「匂宮」の二人の貴公子と「大君」「中君」「浮舟」の三人の姫君が織りなす悲恋の物語。宇治市内には源氏物語に関連するスポットが多数あります。

源氏物語はもちろん、平安貴族の華やかな世界観を知ることができるのが「宇治市源氏物語ミュージアム」。ジオラマや映像により「宇治十帖」の世界がわかりやすく紹介されています。

宇治十帖に登場する橘島。現在は左に朝霧橋、右に橘橋がかかっています
緑に囲まれた入口から趣のある宇治市源氏物語ミュージアム

また、フォトスポットでもあるモニュメントを探しながら宇治の街を散策するのも一興です。「紫式部像」や、浮舟と匂宮が小船で宇治川に漕ぎ出す有名な情景をモチーフとした「宇治十帖モニュメント」があります。
おすすめは、浮舟と匂宮が愛の逃避行先として訪れた「橘の小島」。宇治川の中州に浮かぶ橘島のことで、現在は「宇治公園」として整備され、春は「桜まつり」秋は「茶まつり」が催され、観光客や市民の憩いの場所となっています。なお「橘の小島」は能「頼政」でも宇治の名所として謡われています。

朝霧橋のたもとにある宇治十帖モニュメント。後ろの屏風には、薫が大君・中君姉妹を垣間見ている場面がレリーフで描かれています

このほかにも市内には「宇治十帖」の舞台となった古跡が点在しているので、夜の公演とセットで宇治を満喫してみてはいかがでしょう。

写真提供:宇治市

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