能楽公演のみどころ

「喜如嘉の芭蕉布」重要無形文化財指定50周年記念公演の魅力

公益社団法人 能楽協会

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楽しむ能「楽」プロジェクト!  京都・奈良・長崎・鹿児島・沖縄にて2024年9〜12月開催!「芭蕉布の里 能楽公演」は11月14日(木)に、沖縄本島北部の美ら海に面した大宜味(おおぎみ)村で開催されます。

本公演は、大宜味村喜如嘉(きじょか)で守り続けられてきた伝統工芸「芭蕉布」が国の重要無形文化財に指定されてから50周年を迎えるにあたり、芭蕉布の里・大宜味村で開催される記念公演です。演目は、芭蕉の精が登場する半能「芭蕉」が特別上演されます。

芭蕉布とは、自然と向き合い植物の力に寄り添う強く美しい織物

芭蕉の原料となる糸芭蕉の畑。3年ほどかけて人の背丈を超える大きさになったところで採取、一反の布を織るには200本の糸芭蕉が必要とされています

芭蕉布はバナナ(実芭蕉)の仲間である糸芭蕉の繊維を糸にして織った布で、とんぼの羽のように透けるほど軽く、さらりとした肌触りが特徴です。

琉球王朝時代には王族がその着物を身につけたほか、中国や日本 (徳川家) への最上の貢ぎ物として献上されました。また、高温多湿な琉球にあって涼をはらんださわやかな着心地は、普段着から晴れ着まで場所を選ばずに着用されてきました。

できあがるまでに23もの工程を経て、長い期間をかけて作られる芭蕉布

喜如嘉では、糸芭蕉の栽培から生地の仕上げまですべてを地元で手作業で行い、数百年前とほぼ変わらず伝承の古格が厳しく守られています。喜如嘉は戦後の芭蕉布復興においても重要な役割を果たし、喜如嘉の女性たちは芭蕉布の生産技術を今に織り伝えてきました。昭和49年(1974)には「喜如嘉の芭蕉布保存会」が結成され、国の重要無形文化財に指定されました。

本公演は喜如嘉の芭蕉布の重要無形文化財指定50周年を記念して、大宜味村で半能「芭蕉」が時別上演される貴重な公演です。公演日を含む10月1日(火)~12月1日(日)には沖縄県立博物館で「芭蕉布展」も開催されています。あわせてお楽しみください。

実際に喜如嘉の芭蕉布を着用し、半能「芭蕉」を特別上演

本公演で最初に上演されるのが半能「芭蕉」。芭蕉布の原料となる植物、芭蕉の精が主人公として登場する物語です。

芭蕉の精は女性の姿で現れ、草木成仏の仏説を語り、風に破れやすい芭蕉の葉のもろさ、はかなさを嘆き、月の光のもとで美しい舞が舞われます。やがて秋の風が吹き荒れ……。無常感とともに深い余韻が残る作品です。
本公演では、実際に喜如嘉の芭蕉布を装束として着用し、舞を披露します。沖縄を代表する織物・芭蕉を能はどのように描くのか、ご期待ください。

「芭蕉」のあとに演じられるのが狂言「仏師(ぶっし)」。都のすっぱ(詐欺師)が仏像を求めて都にやってきた田舎者に自分が仏師であると嘘をついて自ら仏像になりすましますが……。すっぱが仏像に化けるたびに面をつけたりとドタバタ劇が楽しい演目です。

さらに最後には源頼光一行が土蜘蛛の精を退治する物語で、エンターテインメント性が高い能「土蜘蛛(つちぐも)」が上演されます。とくに、土蜘蛛の精が源頼光の家臣たちに向かって蜘蛛の糸を投げる場面は華やかで迫力満点です。能楽が初めての方にもお楽しみいただける内容となっています。

能「土蜘蛛」後シテの土蜘蛛の精

静かで優美な舞からクスッと笑える狂言、そして華やかでスペクタクルな能まで、能楽の魅力が凝縮された多彩な演目をぜひ、芭蕉の里・大宜味村でお楽しみください。

写真協力:喜如嘉芭蕉布事業協同組合

 

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