楽しむ能「楽」プロジェクト! 京都・奈良・長崎・鹿児島・沖縄にて2024年9〜12月開催!「美ら海能 in 海洋文化館」は、11月13日(水)に海洋博公園内「海洋文化館」で開催されます。
アジア・太平洋地域の貴重なカヌーや生活用品等が展示される空間に舞台が設けられ、大型スクリーンでの映像も活用しながら上演される特別な能楽公演です。
海上での激しい戦いを描いた能「船辨慶」を特別空間で体験しよう
「海洋文化館」は、昭和50年(1975)に開催された沖縄国際海洋博覧会の跡地に整備された海洋博公園内にある施設です。沖縄を含めたアジア・太平洋地域の島々に暮らす人々の歴史や文化を紹介しています。エントランスホールでは全長約17.6mのタヒチのダブルカヌーに出会えます。
本公演の舞台が設けられるのは、オセアニアゾーン(2階ホール)です。30m×15mの吹き抜けの空間は、太平洋の地図が描かれた床の上に各地の貴重なカヌー等が展示されています。
大海原が想起される特別な空間で上演される演目が、能「船辨慶(ふなべんけい)」。歴史上有名な源義経、弁慶、静御前、平知盛などが登場する物語です。前半は義経との別れを悲しむ静御前の優美な舞、後半では荒れ狂う海上に知盛の亡霊が現れ、長刀を振るい義経一行に襲いかかる迫力満点の作品です。
中央の大型スクリーンでは通常、新天地を求めて大海原を渡った人々の歴史がダイナミックな映像で上映されていますが、本公演では上演中に大型スクリーンに美ら海などの特別映像を投影し、今回だけの能楽×映像演出となります。歴史ある海洋文化館での能楽公演は初の試みとなります。
広大な海を超えた歴史と文化を伝える海洋文化館
海洋文化館は、オセアニアゾーンのほかにも見どころがたくさんあります。本公演は11時30分開演、12時30分終演予定ですので、当日の予定に合わせて公演の前後に館内を巡ってみましょう。
オセアニアゾーンを上から見渡せる3階ロフトの航海ゾーン
人類が長い時間をかけて造船技術や航海術を生み出し、大海原を旅して太平洋地域に拡散していった経緯を映像などで学ぶことができます。壁の展示パネルでは、南の島の少年が伝統的航海師になるまでの物語や、伝統的なカヌーづくりの様子がマンガ仕立てでわかりやすく紹介されています。
オセアニアゾーンの奥にある交流ゾーン
「海が結んだ交流」をコンセプトに、3つの大型カヌーが展示されています。その一つが上写真のリエン・ポロワット号。ミクロネシアの伝統的カヌー建造技術を使ってポロワット島で建造されました。夜空の星を見て方角を定める伝統的航海術によってグアムまでの約800kmの距離を5日間で実際に航海してきたカヌーです。
そのほか、パプアニューギニアに住むモトゥ族が交易に使用したラトカイ、トロブリアンド諸島の貝製の首飾りや腕輪を交換する儀礼に使用したクラカヌーを間近に見ることができます。
交流ゾーンの奥の沖縄ゾーン
沖縄の伝統的な木造漁船サバニの歴史を物語るマルキンニ(丸木舟)や2種類のハギンニ(剥ぎ船)、様々な漁具、かつて中国から伝わったマーラン船の模型などが展示されています。また、伝統的追込み網漁アギヤーを映像で観覧できます。
併設のプラネタリウム
最大恒星数1億4千万個に及ぶ美しい星空のドームスクリーンをゆったりと眺めることができる癒やしのスポット。約30分間のプログラムが1日10数回上映されています。
昔から人の暮らしと海が近いところにあったことを体感でき、海に漕ぎ出しているかのような気持ちになる海洋文化館。ロマンあふれる特別な空間での能楽公演にぜひ足をお運びください。
写真協力:国営沖縄記念公園(海洋博公園)
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