富士吉田 梅若薪能 公演レポート
2021年10月22日(金)

公益社団法人 能楽協会

2021年10月16日(土)に開催された「第42回 富士吉田 梅若薪能」は開催前に雨も上がり、たいへん趣のある公演になりました。今回は実際に現地で取材しましたので、公演の様子をお届けします。
東京からのアクセス抜群!
毎年梅若薪能が開催されている会場は北口本宮冨士浅間神社で、「富士山域」の一部として世界文化遺産に登録されています。交通の便もよく、各地からアクセスしやすい立地です。
・JR東日本 中央本線 大月駅から富士急行に乗り換え、富士山駅で下車する電車ルート
・中央自動車道富士吉田線を利用した車ルート
・各地から富士山駅までの高速バスルート
富士山駅から北口本宮冨士浅間神社まで一本道で向かうことができます。途中、大きな金鳥居があり、そこから眺める富士山絶景ビュースポットは心を奪われること間違いなしです。
周辺散策・神社参拝
境内に入ると一般参拝客も多く見られました。散策をしつつ開場を待ちます。実際には舞台準備が同時に行われていたため、普段とは少し異なる、特別な雰囲気が漂っており、公演が成功するようにと願いを込めて参拝しました。
薪能が始まり、美しい舞とともに日が暮れる
薪能にあたり、まず祝辞・修祓(しゅばつ。神道の儀式でおはらいをすること)が行われ、本日の演目の解説に続き、火入れ式にてかがり火が灯されました。
最初は能「半蔀 立花供養」。今回は小書(こがき。能の特殊演出のこと)が立花供養となっており、立花と呼ばれる特別な生花を舞台上に据え置き、始まりました。夕顔の精の美しい舞とともに日が暮れ、気がつくと辺りは真っ暗で、観客は皆、舞台に見入っているようでした。
下の画面をクリックすると、光源氏と夕顔の昔語りの一場面を動画でご覧いただけます(音声がでますのでご注意ください)。
初めて観る方も、薪能慣れしている方もこの瞬間しかない雰囲気を楽しむ
能楽公演は途中で15分程度の休憩があります。初めて観る方も、最初の解説で見どころやポイントを聞いていたため、その場で仲間と感想を伝えあっていました。さらにかがり火や舞台の写真撮影などをして、普段とは異なる空気感を皆様各々に楽しんでいたように思います。
舞台の声に混じって、時折木々からムササビの鳴き声や、滑空シーンが見られました。「自然の効果音も大切な演者」というのも薪能の醍醐味です。
富士吉田市は標高700m〜に位置する高原都市ということもあり、夜になると若干の寒さを感じつつも、後半の狂言「昆布売」、能はあっという間に過ぎていきました。
公演を終えて
公演スタッフは、2年前は演出の観点でホール能、去年は新型コロナウイルス感染症対策で中止となっていたため、今年の北口本宮冨士浅間神社での開催を本当に待ち望んでいたと言っていました。
薪能ではしか味わえない高揚感や体験、そして観客も演者も関係者も、皆が一体となりこの薪能を創り上げたといっても過言ではないでしょう。非常に想い出深い一夜となりました。

公益社団法人 能楽協会
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