一陽来復祈願能 IN 和歌山御坊〜ご当地開催の演目の舞台「道成寺」へ、いざ参らん!

公益社団法人 能楽協会

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近畿 観光情報
能「道成寺」の舞台、紀州道成寺

2021年11月11日(木)に和歌山県の御坊市民文化会館で、能楽キャラバン!公演として「一陽来復祈願能 IN 和歌山御坊」が開催されます。

演目は、見せ場が多いことから能屈指の大曲ともいわれる能「道成寺」と、「能にして能にあらず」といわれる別格の一曲「翁」。とくに「道成寺」は演目の舞台が紀州道成寺(現在の和歌山県日高郡日高川町にある道成寺、写真)であり、ご当地での開催となります。

本公演の会場・御坊市民文化会館から、演目の舞台である道成寺まではわずか約4kmという近さ。さらに現在、舞台に登場する釣鐘の“本家”が期間限定で一般公開されていますので、公演の前後に、ぜひ足を伸ばしてみましょう。

演目の題材となった「安珍清姫伝説」が残る道成寺

道成寺は、文武天皇の勅願で701年(大宝元年)に創建された和歌山県最古の寺で、国宝の千手観音菩薩、日光菩薩、月光菩薩をはじめ、数々の重要文化財が保存されています。

この寺には、若く美しい僧・安珍に心を奪われた清姫が募る思いから大蛇となり、道成寺の釣鐘に隠れた安珍を炎で焼き殺し、自らも命を絶ってしまったという伝説が残っており、能「道成寺」の題材となっているほか、歌舞伎や文楽などにも取り入られてきました。

今も「道成寺物」の公演前には成功を祈って参拝に訪れる関係者が多いそうです。

62段ある石段の上に建つ、朱塗りの仁王門

住職による安珍清姫の「絵とき説法」は必見!

道成寺を訪れたら、ぜひ体験していただきたいのが、安珍清姫の「絵とき説法」。住職のユーモア交じりの軽快な語り口が観光客の人気を集めています(約20分、随時、拝観料のみ)。

また、絵とき説法が行われる縁起堂の正面には安珍と清姫それぞれの像が祀られており、舞台で使われた道成寺の鐘や衣装、演じた役者の写真や絵画なども飾られています。

安珍と清姫の物語が描かれた室町時代の絵巻物「道成寺縁起」の写本を広げながら、住職が物語や夫婦の教訓などについて説く「絵とき説法」

里帰り中の“本家”の釣鐘と出会えるチャンス

道成寺は、62段の石段を上り、朱塗りの仁王門(重要文化財)をくぐると、正面に本堂(重要文化財)、右手に安珍清姫伝説の鐘楼跡があるだけで、釣鐘自体はありません。

安珍清姫伝説の釣鐘は道成寺にとって二代目の釣鐘で、南北朝時代の豪族、逸見万寿丸源清重(万寿丸)によって寄進されましたが、豊臣秀吉による紀州征伐のおりに持ち去られ、京都の妙満寺へと奉納されてしまったからです。

その釣鐘が、現在、万壽丸の生誕700年祭にあわせて、京都から故郷・道成寺に里帰りしており、11月18日まで一般公開されています。

ただいま内部が無料公開されている本堂

さらに、本堂の内部が公開され、千手観世音菩薩の中開帳(11月28日まで)も行われています。

演目の見どころの一つ「鐘入り」に使用される釣鐘の“本家”と出会える貴重なチャンスです。今回の公演にあわせて道成寺を訪れたら、演目への理解と愛着がいっそう深まること受け合いです!

写真提供:公益社団法人 和歌山県観光連盟

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