能楽公演のみどころ

灯りのともる熊本城で復興の祈りを込めて舞う二日間

公益社団法人 能楽協会

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万博と能楽の歩みを未来へつなぐ ― 二夜限りの至高の舞台

楽しむ能「楽」プロジェクト! は、2025年9月から12月にかけて、大分・奈良・大阪・宮崎・熊本・沖縄にて順次開催!

「熊本城 能楽特別公演」は、11月11日(火)・12日(水)の二夜、熊本城 天守閣前広場にて開催されます。日本三大名城のひとつ、熊本城を背景に、灯りに浮かぶ天守閣の前で舞われる能楽。城と能が育んできた縁をたどりながら、熊本城復興への祈りを込めた特別な公演です。

能楽ともゆかりの深い名城・熊本城での特別公演

2021年に復旧を終え、熊本地震前の雄姿を取り戻した大天守と小天守

熊本城は、慶長12年(1607)、加藤清正が築いた堅城。細川氏や宮本武蔵、谷干城など歴史を彩る人物とともに400年以上を歩んできました。

熊本の地は古くから能楽の源流である猿楽が盛んでした。清正自身も熱心な能好きとして知られ、金春流の武家役者・中村政長を伴い入城すると、本丸の能舞台で盛大な会を催しました。

さらに清正は、藤崎八幡宮や北岡神社で行われていた猿楽を、神社の祭礼に奉納する「御神事能(ごしんじのう)」として再興し、発展させました。熊本市内に現存する両神社では、現在も能の奉納が続いています。

その後の細川家も能を深く愛好したことで知られ、武家から町衆まで広く能を浸透させました。こうして熊本城と能楽の縁は、今に息づいています。

 

「能楽を旅する」特別映像の収録時、熊本城で能「白田村」のシテを演じる狩野了一氏

今回、二夜にわたりシテ(主役)を務めるシテ方喜多流の狩野了一氏は、熊本で御神事能を支えてきた能楽師の一人。熊本地震により甚大な被害を受け、今も再建の歩みを続けている熊本城。当日は、城内でいち早く復活を遂げた天守閣をライトアップし、未来への願いを込めて舞台へ臨みます。

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第一日:復興への祈りを込めて― 素囃子と能「葵上」

能「葵上」シテ 六条御息所の生霊 鬼女(撮影:前島写真店)

両日とも、公演のはじめに、熊本城と能楽の関わりや演目の解説が行われます。
第一日は、復興の祈念を込めて素囃子(音楽だけの演奏)の演奏から幕を開け、『源氏物語』の「葵の巻」を題材とした能「葵上」を上演。六条御息所が嫉妬の執念により鬼女へと変貌していく姿を描き、人間の根源に迫ります。 

第二日:加藤清正も舞ったと伝わる能「箙」

能「箙」シテ 梶原源太景季の亡霊(撮影:前島写真店)

第二日は、人間国宝・山本東次郎氏による狂言「萩大名」で幕を開けます。田舎大名と太郎冠者による滑稽な掛け合いが魅力の狂言に続いて上演されるのは、加藤清正も舞ったと伝えられる「箙(えびら)」。
源平合戦の若武者・梶原源太景季(かげすえ)の亡霊が、箙(腰につける矢筒)に梅をさした姿で現れ、修羅道の戦いを語ります。戦場にあっても、風雅な心を解し、梅を愛でる瑞々しい若武者の姿が鮮やかに描かれます。

復興の象徴として光を放つ熊本城。その天守を仰ぎながら舞われる二夜は、能楽の力を通じて「祈り」と「美」を体感できるかけがえのないひとときとなるでしょう。

 

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