能楽公演のみどころ

茶文化に触れられる狂言と宇治の茶どころめぐり

公益社団法人 能楽協会

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楽しむ能「楽」プロジェクト! 京都・奈良・長崎・鹿児島・沖縄にて2024年9〜12月開催!「平等院 能楽特別公演」は10月16日(水)・17日(木)の二夜にわたり、宇治の平等院 鳳凰堂前広場 特設舞台で開催します。

本記事では、茶に関連のある狂言の演目と、宇治茶で知られる宇治の茶文化についてご紹介します。

宇治橋で茶を提供する茶屋坊主が主人公の狂言「通圓」

宇治茶は、鎌倉時代に中国の僧が宋から持ち帰った茶の種子を、高山寺の明恵上人が京都・栂尾深瀬に播き育てた後、茶の普及のために宇治に移植したのがはじまりです。宇治周辺は地形や気候が適していたことから茶の栽培が盛んになりました。
以後、宇治茶は足利義満、織田信長、豊臣秀吉などの時代にも庇護され、宇治の茶業家が「抹茶・煎茶・玉露」など現在の製茶法を生み出したことから、日本を代表する名茶となりました。

17日(木)の公演では、宇治橋で通行人に茶を提供していた茶屋坊主の通が主人公の狂言「通圓(つうえん)」が上演されます。曲中、通は霊となって現れ、「大勢の客に茶を点てすぎて死んでしまった」と語り、自分の最期の有り様を再現します。
実はこの曲は、能「頼政」のパロディとされ、アイ(能に登場する狂言の演者)・地謡・囃子が入る、能仕立ての狂言となっています。
能「頼政」では宇治の戦いで平家軍が300人と押し寄せ、主人公の源頼政はついに自刃をします。
狂言「通」では、茶を求める客人が300人と押し寄せ、通は……と続きます。

能「頼政」を知るとより楽しめるので、16日(水)の公演で上演される半能「頼政」に続いて鑑賞するのも一興でしょう。
ちなみに、通は源頼政の家臣であったとされ、その子孫が平安末期に「通茶屋」を創業し、現在も茶舗「通圓 宇治本店」として宇治の地で継承されています。

能「頼政」の魅力についてご紹介している記事は、こちらからご覧ください。

狂言「通圓」に登場する宇治橋

 

呈茶付プレミアムチケット&宇治茶の関連スポット

呈茶付プレミアムチケットで提供される菓銘「紫雲」。紫雲とは仏が乗って来迎する雲を意味します。 写真提供:平等院

楽しむ能「楽」プロジェクト! 「平等院 能楽特別公演」では、両日ともにご用意している宇治茶・和菓子+優先入場特典付きの「呈茶付プレミアムチケット」も大きな魅力となっています。
公演前に平等院内茶房「藤花」にて、宇治の老舗・丸久小山園特別ブレンドの抹茶と、平等院の雲中供養菩薩の雲をイメージしたお菓子を椅子席で気軽にお楽しみいただきます。
お抹茶茶碗に使用されるのは、宇治の茶陶(茶の湯に用いる陶器)「朝日焼」。朝日焼は、400年の伝統を受け継ぐ宇治の窯元で、江戸時代の高名な茶人・小堀遠州が選定した「遠州七窯(えんしゅうしちよう)」の一つです。繊細な風合いが魅力の茶陶とともに、公演前のひとときをお楽しみください。

宇治には、茶に関連するスポットも多くあります。
お茶と宇治のまち交流館 茶づな」は、宇治茶の歴史や製法を展示と映像で学べる施設。抹茶づくりや利き茶など様々な体験プログラムに挑戦できます。
平等院の近く、鳳凰堂に相対するようにあることからその名が付けられた「対鳳庵(たいほうあん)」は、宇治市が開いている市営茶室です。宇治茶と茶道の普及を目的に建てられた本格的な茶室で、抹茶のお手前などが気軽に体験できます。
本公演とともに、茶の街・宇治で茶文化を堪能してみてはいかがでしょうか。

初めてでも気軽に茶道が体験できる宇治市営茶室「対鳳庵」

写真提供:宇治市

 

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