楽しむ能「楽」プロジェクト! 京都・奈良・長崎・鹿児島・沖縄にて2024年9〜12月開催!「能楽入門講座 長崎公演」は、11月24日(日)に長崎市民会館 文化ホールで開催します。本記事では、能楽ファンから初心者までが楽しめる能楽入門講座公演の見どころと、長崎市にある能楽にゆかりの深い観光スポット「鎮西大社 諏訪神社」をご案内します。
能楽を代表する名曲を能楽師によるお話で親しみやすいものに
能楽入門講座は、能楽師による解説とアフタートークとともに能楽を鑑賞する人気公演で、長崎県での開催は初めてです。当日の演目はいずれも人気・知名度が高い名曲、かつ親しみやすい作品が揃っています。
「高砂」は結婚式でも謡われるおめでたい曲です。本公演では舞囃子(紋付き袴姿で囃子とともに舞う上演形式)により女流能楽師が住吉明神として登場し、清々しく颯爽と舞い、夫婦円満や天下泰平を祈ります。
狂言「伯母ヶ酒(おばがさけ)」は酒を手に入れるために鬼に化けた男の物語です。酒好きの甥と、酒屋を営む伯母とのコミカルなやりとりが魅力です。
能「船弁慶」は、源義経や弁慶、静御前などおなじみの歴史上の人物が登場する能楽を代表する作品です。
前半は静御前が義経との別れを惜しんで舞う優美な舞、後半では平知盛の亡霊が荒々しく長刀を振りかざして義経一行に襲いかかるという、「静」から「動」へのドラマティックな変化が楽しめる演目です。その変化を舞はもちろん、謡や囃子とともにご堪能いただけます。
能「船弁慶」:詳しい曲目解説はこちらの記事をご覧ください。
解説やアフタートークで能への理解を深めよう
能楽の演目への理解をより深めてくれるのが、能楽師による上演前の解説や上演後のアフタートークです。
とくに、本公演の「アフタートーク」では、直前まで舞台で演じていた能楽師たちが素顔で登場します。観客からの質問にも気軽に応じ、能楽の魅力をご紹介します。その場で質問ができますので、上演中に気になったことを気軽に質問してみてください。
能楽に興味はあるけど難しそう……という方にも、気軽に能楽に触れていただけるのが本公演の魅力です。
「鎮めの能」が奉納されている諏訪神社
長崎公演とともに、ぜひ訪れたいのが、公演会場の長崎市民会館から徒歩15分の位置にある「鎮西大社 諏訪神社」です。
諏訪神社は、国の重要無形民俗文化財で日本三大祭りに称されている「長崎くんち」で有名ですが、能楽ともゆかりの深い神社です。
「長崎くんち」は、寛永11年(1634)に二人の遊女が諏訪神社の祭礼に謡曲「小舞(こめえ)」を奉納したことが起源とされています。延宝7年(1679)には境内に能舞台が設けられ、長崎くんちで気が荒ぶった神様を鎮める「鎮めの能」が神事能として奉納されてきました。しかし、安政4年(1857)の大火で能舞台が焼失して以来、途絶えていました。
その後、鎮めの能は2014年、実に157年ぶりに復活しました。このときに舞った能楽師こそ、本公演の「船弁慶」でもシテ(主役)を演じるシテ方観世流の森本哲郎氏です。
以来コロナ禍を除く毎年、長崎くんちが10月7〜9日に催された後の13日に、大祭の終わりを告げる「直会(なおらい)神事」として奉納されています。
現在、諏訪神社には江戸時代の能面45面をはじめ、能装束、能楽用具、能舞台下絵など100点以上の能関係資料が県指定の有形民俗文化財として保存されています(※非公開)。その大半が延宝7年の能舞台完成の際に用意されたものとされる貴重なものです。
諏訪神社は、厄除け・縁結び・海上守護のご利益があり、境内にはユニークな狛犬散歩道や恵比寿・大黒縁結び(恋占い)、災難除けのかえる岩など見どころもたいへん多くあります。是非、本公演前に訪れてはいかがでしょうか。
写真提供:(一社)長崎県観光連盟
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