佐渡の演能の多くは、薪能など夜の公演となります。それまでの昼間には、名物のたらい舟体験をはじめ、佐渡を体感するスポットへ出かけてみては? 佐渡を身体ごと感じられる体験スポットをご案内します。
磯ねぎ漁のために洗濯桶を改良して誕生した、たらい舟
佐渡といえば、すぐにイメージされるたらい舟。最近では、ジブリ映画「千と千尋の神隠し」で、千尋が乗った舟のモデルになったのが佐渡のたらい舟と言われ、話題を集めました。
もともと、たらい舟は、南佐渡地区の小木半島一帯で磯ねぎ漁をするために作られ、実用化されたのは江戸時代~明治時代と言われています。
磯ねぎ漁とは、たらい舟の上から箱眼鏡(ガラスの箱)で水中を覗きながら、ヤスなどの道具で突いたり刺したりしてアワビやタコなどの魚介や海藻類を採取する漁法です。
1802年(享和2年)の小木地震で半島の海岸線一帯は1メートル余り隆起し、磯漁に適した複雑な地形となりました。しかし、狭く入り組んだ岩礁が多い海岸には大きな舟は入っていけず、小回りと安定性が重視された小ぶりの舟が必要になり、洗濯桶を改良して「たらい舟(盥船)」が誕生しました。
磯ねぎ漁はいまも行われていますが、たらい舟のユニークな形や操船の面白さから佐渡を代表する観光資源として活躍するようになりました。
杉と竹だけを使って職人が手作りした、たらい舟に乗船できる「宿根木・はんぎり」
たらい舟体験は、小木港や矢島経島、南埠頭などでできますが、コラム「佐渡に能楽文化が花開いた江戸の面影を追う~京町通りと宿根木」で紹介した宿根木にある「宿根木・はんぎり」では、杉と竹だけを使って昔ながらの製法で職人が手作りした貴重なたらい舟に乗船できます。
こちらでは、たらい舟のことを、樽を半分に切ったことから「はんぎり」と呼び、その大きさは直径150センチ、短径130センチの楕円形。漁業用より大きめの観光用で、杉をぴったり組んだたらいを、竹を編んだタガが一周してぐるりと巻かれています。
船頭さんが一緒に乗るので、自分で操縦する必要はなく、乗船人数は船頭さん以外に大人3名までが一般的。
乗る時は静かに慎重に乗ります。やはり、この瞬間がドキドキしますが、思ったより安定しているのでひと安心。船頭さんの後ろ姿を見ながら、どんぶらこ。
江戸時代にタイムスリップしたような宿根木の街並みを背に、長い時をかけて創られた火山岩類など異世界観の漂う岩場をゆったりと巡ります。
途中、箱眼鏡で水中を覗くアクティビティーもあり、実際に漁をしているような心持ちに。
湾内を回る手軽な15分コースから、湾外まで行くコース、夕日を見ながら乗る夕凪夕陽コースもあります。さらに、期間限定のナイトクルーズでは、竹灯籠のキャンドルが照らす幻想的な奇岩や岩礁群の間を巡り、運が良ければ、暗闇の海に青白く光る夜光虫に出会えたり、日中とは異なる海の景色を楽しむことができます。
このほか、たらい舟体験は、女性船頭さんが操る舟が旅情を誘う「たらい舟力屋観光汽船」や、矢島経島を眺望する美しい景観の中で「海中透視たらい舟」も楽しめる「矢島体験交流館」での体験もおすすめです。
さど観光ナビより
佐渡には砂金採りや能面絵付けなど魅力的な体験スポットがいっぱい
佐渡には、たらい舟のほかにもたくさんの体験スポットがあります。
砂金採り体験は、平安時代から砂金が採れていたと言われる「西三川砂金山」跡地に建つ体験型資料館「佐渡西三川ゴールドパーク」(南佐渡地区)で楽しめます。自分で採った砂金は、その場で記念のストラップやペンダントに加工してもらえるので(有料)、佐渡のお土産にぴったりです。
太鼓体験は、佐渡を拠点に国際的に活動する太鼓芸能集団 「鼓童」が運営する「佐渡太鼓体験交流館 たたこう館」(南佐渡地区)で! 太鼓を使って様々なゲームに挑戦したり 太鼓の面白さが体験できるワークショップが用意されています。
たたこう館は、大佐渡山脈と真野湾を一望できる高台にあり、佐渡産木材を使用した音響抜群のホールは開放的なスペース。樹齢推定600年のケヤキの原木をもとに手作りされたオリジナルの大太鼓も設置されています。
能楽関係では、能面の絵付けが、体験型宿泊施設「ふれあいハウス潮津の里」(国中地区)で体験できます。型取りをした能面に目や髪などの表情を描き、最後に竹の板に貼り付けると、壁掛け用の能面が完成します。
このほか、「のろま人形絵付け」「石細工」はじめ、佐渡らしい体験プランが充実しています。
なお、佐渡の能舞台で能・仕舞体験をするプランなども随時企画されているので、関心のある方は、下記までお問い合わせください。
佐渡を体感したら、いよいよ夜にはお楽しみの能楽鑑賞が待っています。
能・仕舞体験についてのお問い合わせ先
さど観光ナビより