沖縄の美と歴史に触れる旅へ
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沖縄本島

と能楽とのかかわり

能楽の要素を取り入れて創られた「組踊(くみおどり)」

8.6なはーと本公演「伊野波節」

沖縄の伝統芸能のひとつに、琉球王国時代に中国からの使者をもてなす歌や踊りとして発展した組踊(くみおどり)琉球舞踊があります。

琉球王朝文化の最高芸術と言われる組踊は、玉城朝薫(たまぐすく ちょうくん)によって世に送り出されました。当時の琉球王府の踊奉行に任命された朝薫は、能楽・歌舞伎・文楽などの芸能の要素を取り入れつつ、琉球の歴史・故事・説話を題材にした独自の歌舞劇「組踊」を生み出しました。朝薫が能楽を参考に創作したとされる「執心鐘入(しゅうしんかねいり)」などの演目は完成度が高く、現在でも組踊の代表作として上演されています。
組踊は、現在でも沖縄の伝統芸能を集約した劇場「国立劇場おきなわ」などで上演されています。また、近しい間柄にある組踊と能楽が同じ舞台で演じられる機会もあります。

能楽をめぐる

探訪コース① 能楽映像でめぐる沖縄の美スポット

2022年に洞窟での能楽公演が開催された神秘的な空間「ガンガラーの谷」からスタートし、
沖縄本島南部の美しい景勝地、琉球王国時代に祭祀が行われていた聖地や城跡をめぐります。

1

ガンガラーの谷

数十万年前の鍾乳洞が崩れてできた太古の谷

ガンガラーの谷は、古代の鍾乳洞が崩れてできた自然豊かな谷間で、亜熱帯の森が広がる神秘的なスポットです。約2万年前の沖縄の古代居住痕跡が見つかったことから発掘調査がはじまり、2016年には約2万3千年前の世界最古の貝製釣り針が発見されました。

2008年より観光地として公開されています。内部に入るには環境保護のため専門ガイドと一緒にツアーに参加する必要があります。ツアーで巡るコースは全長約1km。崖上から根を伸ばす巨大なガジュマル、古くから命の誕生を願い信仰されてきた神聖な鍾乳石、樹上に設けられた秘密基地のようなツリーテラス、古代人が住んでいたとされる住居跡など自然の神秘と人類の歴史を体感できる見どころがたくさんあります。

この太古の谷の手前にある自然の洞窟では2022年に能楽公演が開催されました。


沖縄県南城市玉城字前川202番地
「ガンガラーの谷」
車で12分
車で12分
2

新原ビーチ

時間がゆっくり流れる天然ロングビーチ

新原ビーチ

新原(みーばる)ビーチは透明度が高く、遠浅が続く自然のビーチ。隣接している百名ビーチと合わせると約2kmの白い砂浜が続いています。波が穏やかで泳ぎやすい遠浅の海は、大潮の干潮時には沖合のリーフまで歩いて行けるほどです。美しい貝がらを拾ったり、岩場に住む小さな熱帯魚を眺めたり、ビーチ沿いでゆったり過ごすことができます。グラスボート(海底観察)の人気スポットでもあり、カクレクマノミなど様々な魚たちに出会えます。

沖縄県南城市玉城字百名 1599-6
沖縄観光情報WEBサイト「みーばるビーチ」
車で15分
車で15分
3

知念岬公園

神の島・久高島など太平洋を一望できる絶景スポット

知念半島の端に位置し、海にせりだしたような岬に佇む公園からは、琉球の創世神アマミキヨが降臨したとされる神の島・久高島(くだかじま)をはじめ太平洋が一望でき、周囲約250度の広範囲で海の大パノラマが広がります。

すぐ近くには、琉球王国最高の聖地で世界遺産になっている斎場御嶽(せーふぁうたき)があります。アマミキヨが創ったとされる斎場御嶽は原始の森の中にあり、琉球国王や王国最高位神女「聞得大君(きこえおおきみ)の聖地巡拝の行事を今に伝える「東御廻り(あがりうまーい)」の参拝地として、現在も多くの人々から崇拝されています。 御嶽内には6つのイビ(神域)があり、中でも御嶽のもっとも奥にある「三庫理(さんぐーい)」は斎場御嶽のシンボル的存在。巨岩が重なり合ってできた三角形のトンネルの突き当たりにあり、神聖で厳かな空気に包まれています。

沖縄県南城市知念字久手堅
沖縄観光情報WEBサイト「知念岬公園」

 

車で45分
車で45分
4

中城城跡

美しい曲線の城壁が残る風光明媚な世界遺産

世界遺産の中城城跡(なかぐすくじょうあと)は、中城湾に面した丘陵の上に築かれたグスク(城)跡。14世紀後半に琉球の豪族が築城。琉球王国が統一される頃に活躍した武将・護佐丸(ごさまる)が移り住み、周辺の城壁を増築したといわれています。沖縄のグスクの中でも多くの遺構がほぼ原形のまま残り、曲線を描いた石垣や精巧なアーチ門などが見られます。見学可能な石垣の上に立つと西に東シナ海、東に太平洋を同時に見渡せる素晴らしい眺望が広がります。
日本城郭協会選定による「日本100名城®」のひとつです。

この中城城跡の雄大な景色の中で、夜の古城をライトアップして2023年に能楽公演が開催されました。

沖縄県北中城村大城503
沖縄観光情報WEBサイト「中城城跡」

探訪コース② 琉球王国の歴史と文化を学ぶ旅

琉球王家の別邸として中国皇帝の使者などを歓迎するために組踊なども舞われていた世界遺産「識名園」からスタートし、琉球国王の居城や墓をめぐりながら沖縄の歴史・文化を学ぶ旅へ出かけましょう。

01

識名園

かつて琉球芸能も披露されていた琉球王家最大の別邸

識名園

識名園(しきなえん)は1799年に造営された琉球王家最大の別邸。国王一家の保養や中国からの使者の接待などに利用され琉球舞踊などが上演されていたとされるスポットです。1975年から約20年かけて整備され、2000年に国指定の特別名勝となり、世界遺産にも登録されました。

広大な園内には、中国、日本、沖縄それぞれの文化が融合した歴史ある建物があり、廻遊式庭園では池の周りを歩きながら景色の移り変わりを楽しめます。

沖縄県那覇市真地421-7
沖縄観光情報WEBサイト「識名園」
徒歩で10分
徒歩で10分
2

首里城

復元された琉球王国の国王の居城

首里城

首里城は琉球国王の居城で、1406年に尚巴志王が居城としたのが最初といわれています。その後500年近く、琉球王国の中心として栄華を極めました。戦争で消失した後に復元作業が進められ、1992年に沖縄の歴史と文化をテーマとした公園として開園しました。

荘厳な城門をいくつも通ると現れる正殿(せいでん)は、中国と日本両方の特徴が取り入れられた独自の建築様式が魅力です。また、正殿の向かって左側の北殿では、中国からの使者を接待する場として組踊などが披露されていました。2019年の火災で正殿や北殿などが焼失しましたが、現在復興が進められています。

現在の主な見どころ

守礼門 首里城の玄関口にあり、中国の伝統的な建築様式により優美な雰囲気。
園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん) 国王が外出するときに安全祈願をした礼拝所。世界遺産。
西のアザナ(いりのあざな) 標高約130mの物見台。那覇の町や遠く水平線上に慶良間諸島などが展望できる。
復興展示室 火災前まで正殿の屋根から睨みをきかせていた獅子瓦などの展示、復興までの歩みがVTRやパネルで紹介。

沖縄県那覇市首里赤平町首里金城町1-2
沖縄観光情報WEBサイト「首里城公園」
徒歩で5分
徒歩で5分
3

玉陵

琉球王国の一族が眠る墓

07

玉陵(たまうどぅん)は琉球王国 第二尚氏王統時代の墓。琉球王国最盛期の1501年に尚真王が父王の遺骨を改葬するために築かれました。復元修理を経て、現在では国宝および世界遺産に登録されています。

周囲は石垣で囲まれ、自然の崖壁に穴をあけた墓室は「王様と王妃が眠る東室」「洗骨前の遺体を安置する中室」「その他の王族が眠る西室」の3部屋に分かれています。エジプトのスフィンクスを彷彿させる沖縄最古の破風型(家型)の墓とされています。

沖縄県那覇市首里金城町1-3
沖縄観光情報WEBサイト「玉陵」

 

沖縄本島の楽しみ方
いろいろ

地元民が愛してやまないご当地グルメ

沖縄そば
食べ物

沖縄のご当地麺「沖縄そば」は、小麦粉でつくられた麺で、カツオダシや豚ダシをベースに砂糖醤油などで甘く煮た豚肉とカマボコをのせたものです。県内には300以上もの専門店があり、三枚肉(豚バラ肉)やソーキ(スペアリブ)など具材の違いが楽しめ、宮古そば(中細麺)や八重山そば(丸麺)など沖縄の地域によって特色があるのも魅力。

また、沖縄の人々が愛してやまないのがステーキ。「お酒のシメにステーキ」という風習もあるほどに沖縄ではなじみ深い料理です。

泡盛の魅力に酔いしれる

泡盛の魅力に酔いしれる
お酒

沖縄を訪れたら試してみたい沖縄の地酒・泡盛。沖縄には実に47もの泡盛酒造所があり、それぞれが個性あふれる泡盛を造っています。

酒造所の歴史や製造法に触れる酒造所めぐりも旅の醍醐味です。泡盛の手造り体験や試飲ができる「沖縄の酒造所めぐりの魅力」については「もっと!能楽を旅するコラム」で紹介予定です。

写真協力/沖縄観光コンベンションビューロー

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