津の国阿倍野で酒を売る男は、客の一人から昔この原で一人の友が松虫の鳴く音にひか草の中に入ったまま帰らず、もう一人の友もあとを追って自害した話を聞く。酒を売るが回向すると、かの亡霊が現れ友を語るのだった。