能・狂言の舞台で使用される装束についてご説明いたします。

唐織(からおり)

もとは唐(中国)風の織物の意で、蜀江の錦織にならったものといわれている。
金銀糸やさまざまの色糸を使い、草花など多種多様の文様の小袖。能装束の中でももっとも豪華で、その代表的なものである。主として女性の役の上着として用いられる。
着流しや壷折に着付ける。

能 金春流 『巴』
シテ 櫻間金記
2009/8/2 「日本の古典 能・狂言 鹿児島公演」

唐織

長絹(ちょうけん)

絹の単衣(絽または紗)で広袖。
両胸と両袖に露と呼ばれる組紐がついている。地色は、白・紫・緋・萌黄・浅黄などいろいろある。主として、舞を舞う女性の上衣だが、ある程度位の高い武将や貴族に用いることがある。縫箔を腰巻にしてその上に着る場合と、下に大口をはき、上にこの長絹を着る場合とがある。

能 宝生流 『吉野静』
シテ 武田孝史
2011/2/20 第51回「式能」

長絹

水衣(みずごろも)

絹の薄い絹布で作られた広袖の上着。
色は白・紫・茶・黒・紺・浅黄などがあるが、生地、柄によって区別されている。老人、男女、僧侶などの、日常着、労働着、旅行着など、用途はきわめて広い。普通、男はその上から腰帯をして胸元をあけて着るが、女性の場合は腰巻の上にそのまま羽織って前を糸でとじて着ることが多い。

能 観世流 『鵜飼 空之働
ワキ 宝生閑
ワキツレ 殿田謙吉
2009/12/5 「無形文化遺産能楽」第2回公演

水衣

大口(おおくち)

大口袴の略で、前側にひだがとってあり、後側は平たく堅く織られた生絹地の半袴。両側に角張った特異な形をしている。白大口、緋大口、色大口などの種類があり、武将・僧侶・女性などの位の高い役に用いる。なかでも白大口はもっとも用途が広く、色大口は男女両用、緋大口は女性が使う。

能 観世流 『善界 黒頭
シテ 上野朝義
2010/7/18 大阪支部「特別公演」

大口

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