能・狂言の舞台で使用される作り物についてご説明いたします。
井戸(いど)
井戸の作り物で、薄が手前につけられているのは「井筒」に用いる。薄の位置や井戸の高さは、流儀や演出によって様々。
薄を付けず、紅段を巻いて華やかにしたものは、「玉井」に用いられる。
能 金春流 『井筒』
シテ 本田光洋
2010/7/16 第33回「納涼能」
萩屋(はぎや)
竹で骨組みを作り、中に人が一人入れる大きさに設える。四方を柴のついた戸で囲い、その粗末な感じが、あばら家や寝室を表すのに用いられる(「黒塚・安達原」や「一角仙人」)。また、天井部分に藁屋根を載せたものは、藁屋と呼ばれる。
能 金剛流 『黒塚』
シテ 今井克紀
2009/10/28 第7回「ユネスコ記念能」
鐘楼(しょうろう)
寺の境内にある鐘楼を表し、「三井寺」にのみ用いる。ミニチュアの鐘が下がっており、撞木からは鐘を撞く為の紅段がついていて、「鐘之段」の場面での所作に用いる。
能 観世流 『三井寺 無俳之伝』
シテ 梅若吉之丞
2010/7/18 大阪支部「特別公演」