都の僧が摂津国、長柄の橋にさしかかると、老人が娘をつれて現われる。実はこの父娘こそ、昔この橋の人柱とされて死んだ老人とその娘の幽霊なのであった。僧がその夜読経していると、老人の霊が昔の姿で現われ、人柱にされてしまった有様、いまだ浮かばれぬ恨みを見せて、橋柱の陰に姿を消してゆく。