人買にさらわれた愛児の行方をもとめて、遥々武蔵の国隅田川の畔までさすらってきた母親は、はからずもそこで我が子の最期を知る。大念佛の場で墓の中から姿を現す幼子の亡霊、まぼろしを捕えようとする母、悲痛哀切の極点。