解説

東国から来た旅の僧が桜咲く春の法隆寺に参拝していると、一人の老翁が現れて夢殿に案内しつつ、太子にまつわる神秘的な説話などを語る。そしてさらに、片岡山において太子が飢人を哀れみ救った話から、聖徳太子誕生の奇瑞や十七条憲法の理念について語る。やがて老翁は飢人を葬った棺の前に来るとたちまち金色の光を放って、夜嵐の花に紛れて夢殿に消えた。夜もすがら、太子を回向する僧の前に、駿馬に乗った聖徳太子が姿を現した。そして、黒駒に乗って富士山上を駆け、遠く北越の空まで巡ったという説話さながらに、連なる峰々を天翔ける。

  観世 金春 宝生 金剛 喜多
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