伝統芸能が息づくまち、神楽坂にある登録有形文化財の能楽堂です。

本舞台:木曽の御陵林から特別に分けていただいた檜材を使用した本舞台。舞台右の貴人口には、能舞台ではめずらしく梅が描かれている。

明治期に観世清之が起こした観世流の一派・「観世九皐会」(現・公益社団法人観世九皐会)が所有する能楽堂。
二代目の初世観世喜之が明治44年(1911年)に神田小川町に「観世喜之家舞台」を設けるが、大正12年(1923年)関東大震災により焼失。
昭和5年(1930年)に現在の牛込矢来町に「観世九皐会能楽堂」を竣工するが、昭和20年(1945年)5月に戦災・空襲にて焼失。
昭和27年(1957年)9月に「観世九皐会能楽堂」を再建し「矢来能楽堂」と改称して舞台披きとなった。
棟梁は三輪音吉、鏡板揮毫は二世観世喜之の絵の師であった川邊菊久。
木曽の御陵林より特別に檜材を分けていただいた総檜作りの能舞台である。
閑静な神楽坂の住宅街の中にあり、玄関口へは風情ある門と木立を通り、建物は当時モダンであった木造モルタル造り。高窓から自然光を取り入れている。
舞台下には瀬戸焼の甕が9つ置かれており、音響効果を担う。舞台の前面には観世家の矢車紋が取り付けられ、入母屋造りの舞台屋根の破風には「九皐会」を象徴する鶴の彫刻がある。貴人口に梅が描かれているのは珍しい。
客席の後部は小上りの座敷席となっており、開館当時は贔屓客の特別席となっていた。
見所は三度の改装を経ており、現在の客席は平成28年に改修。座敷席も残しながら、ゆったりと鑑賞できる全椅子席である。(定員237席)
見所内の椅子の背もたれには、それぞれ異なる詞章を刻んだ銅板プレートがとりつけられている。

矢来能楽堂:神楽坂の住宅街にひっそりと佇む能楽堂。風情のある門構えが特徴的。
客席:237席のゆったりとした全椅子席。後方は畳敷きの座敷上に可動式の椅子を設置。座敷の最前列は掘りごたつ式で足を延ばして鑑賞できる。
客席椅子の背面には、それぞれ異なる能の詞章が記された銅板プレートが取り付けられている。
揮毫:川邊菊久〈1899~1980〉(日本画家)院展無鑑査。二世観世喜之の絵の師匠であった。木造の建物内にあるため、季節の湿度によって鏡板中央部の幅が変化するのもおもしろい。

矢来能楽堂のご案内

どの席から見ても舞台が近く、演者の息遣いが感じられます。 客席後方の壁は半響板となり、自然で適度な音の響きが心地よく、舞台上で演じる演者さんにもファンが多く、観客も出演者も幸せになれる能舞台です。

所在地
〒162-0805
東京都新宿区矢来町60
最寄り駅
地下鉄:神楽坂駅
バス:矢来町
公式サイト
https://yarai-nohgakudo.com/
お近くの観光情報
  • 神楽坂(飯田橋~神楽坂界隈):花街の歴史が色濃く残る町で、個性ある店舗が並ぶ商店街や、風情のある路地などが観光スポットとなっている。

会場周辺地図

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