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舞台

能や狂言は、能舞台で演じられるのが本来で、その能舞台を持つ能専用の劇場が能楽堂です。もちろん昔は能舞台は野外にあり、見所(けんしょ、観客席のこと)はその周りで屋根も無く、また屋根があっても別棟で舞台から離れていたりと、観客にとっては不都合もありました。その不都合を廃すべく、全天候型・観客一体形式の劇場にしたものが、能楽堂なのです。 ちょうど今から120年前(明治14年)のことです。

近年、薪能等に於いて、仮設舞台で大勢の方に能楽を鑑賞して頂く催しが増え、様々な工夫や企画で人気を博しています。これは逆に屋内から野外に飛び出したものですが(ただし薪能自体は室町時代以前よりあります)、昔と違い音響や照明の技術の発達によることと、背景のすばらしさや、気軽さなどの理由で、今や夏の風物詩とまで言われる盛況ぶりです。また、劇場版仮設舞台としては、いわゆる「ホール能」といって大きなホールや文化会館などで上演され、こちらも天候を気にせずたくさんの観客が入れることなどから、盛んに行われています。

能楽堂の無い地域などには価値のある催しとなっている事でしょう。しかしながら、正式な能舞台は能楽堂にありますから、能の真価に触れるためには能楽堂に是非とも足を運んでいただきたいものです。
不思議な、小宇宙とでも言うべき空間を味わえることでしょう。

構造

舞台の構造説明図

舞台

その特殊な構造の中でも「屋根」と「4本の柱」が大きな特徴となっています。建物の中にありながら、必ず屋根のついた舞台となっています。これは、もともと能舞台が野外にあった名残というのみではなく、4本の柱と屋根が如何に大事な役割をしているかということなのです。

国立能楽堂

4本の柱はもちろん屋根を支えていますが、それだけではありません。「本舞台」と呼ばれる3間四方の空間をまず作り、面をつけて舞う演者の絶えず目標となります。

屋根は反響版の役目をかねており、また、適度な照明装置を取り付けてあるため、欠かせないものです。

「鏡板(かがみいた)」と呼ばれる背景には松が描かれます。神が降りるヨリ代の意味として野外で実際背景に老松があった名残でもあります。また鏡板は「松羽目」とも言い、歌舞伎では能から取り入れた曲を「松羽目もの」と呼びます。
幕と本舞台をつなぐ部分を「橋掛かり」といい、ただの通路ではなく様々な空間として使います。家の外と中、或いは遠い場所、さらにはこの世とあの世など・・・。

橋掛かりのわきには3本の松があり、演ずる場合の目印になり点景ともなって遠近感を出しています。

舞台の周りには「白洲」があります。これは昔、野外で行われていたときに舞台の周りに玉石を敷き詰め、太陽光を乱反射させて照明代わりの役も成していたと考えられます。今はその名残として、形式的に敷き詰められています。
能舞台には緞帳は無く、突き出した舞台の周りを観客が取り囲み、マイクなどの音響や舞台装置、照明の変化など一切用いず、まさに舞台と見所が一体となり能の世界を無限大にしてゆくのです。

舞台裏

通常は舞台のすぐ裏に楽屋があります。幕に近いほうからシテ方・ワキ方・狂言方・囃子方と、大体決まっています。ただし個室ではなく、それぞれの役がお互い見通せるようになっていて、舞台進行上大変便利な楽屋です。

幕のすぐそばには「鏡の間」があり、能が始まる前には出演者が精神や装束・面などを最終的に整えます。

囃子方は「お調べ」といって楽器の調子を整えますが、これは殆ど形式上のもので能が始まる合図の役割が大きくなっています。



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